『日本語組版処理の要件(JLREQ)』は、行頭に置く始め括弧類の扱いに、ひとつの正解を定めていません。「改行行頭の字下げは全角アキ、折返し行頭は天付きとする」。これがJIS X 4051の採用した方式で、岩波書店の組版もこれにならいます〈W3C技術ノート(2012年)、3.1.5〉。
もうひとつの方式を採るのが、文芸書の版元(講談社、新潮社、文藝春秋、中央公論新社、筑摩書房)です。「改行行頭の字下げは二分アキ、折返し行頭は天付きとする」。会話の多い小説では「『またあした』」のように括弧が入れ子で重なる行が続き、行頭が下がりすぎるという判断からでした。
和文と欧文のあいだにも決まりがあります。「欧字・アラビア数字の前後に配置される平仮名、片仮名又は漢字等との字間は、四分アキとする」(同3.2.6)。〈補足(注記)〉や『引用(「孫引き」を含む)』のように約物が三重に重なる箇所、そしてHTMLやCSS、2026年のような表記が混ざる箇所ほど、この差は効いてきます。